【読書感想】ふしぎ駄菓子屋 銭天堂

読書の時間

あなたの夢を叶えてくれる、不思議な駄菓子屋さんのお話

(読んだ本)ふしぎ駄菓子屋 銭天堂(作:廣嶋玲子/絵:jyajya/偕成社)

 銭天堂のお菓子をご利用の際は、使用上の注意をよく読み、用法用量を守って正しくお使いいただきたいざんす

内容

 駄菓子屋の店主、ふくふくとした若いのか年なのかわからない姿の女将、紅子さん。

 今日も銭天堂に訪れたお客さんたちに、紅子さんはお菓子を売るのです。

▶型ぬき人魚グミ

 水泳が苦手な少女が紹介されたのは「型ぬき人魚グミ」。食べたらあら不思議、あれだけ苦手なプールが怖くなくなくなったのはいいんだけど、、、

▶猛獣ビスケット

 妹が訪れていた銭天堂でお菓子の箱を万引きした兄。万引きしたお菓子を食べていたら、お菓子の猛獣たちが暴れたしてしまったぞ!

▶ホーンテッドアイス

 夏の猛暑のある日、銭天堂を訪れた女性が紹介されたのは「ホーンテッドアイス」。半分だけアイスを食べた後から色んなお化けが家に出現し始めて、、、

▶釣り鯛焼き

 鯛焼きがどうしても食べたかった少年が銭天堂で買ったのは、鯛焼きが釣れるお菓子の箱。釣れるのは美味しい鯛焼きだけど、少年のお姉さんはそのことを不審に思い、、、

▶カリスマボンボン

 努力はしないけど名声はほしい青年、銭天堂で買った「カリスマボンボン」を食べてから不思議と全てが上手くいくように。トントン拍子に栄転していくけど、お菓子には効果の期限があるのではないか?そうなったら自分はどうなってしまうのか?と不安になる青年。そんな不安な青年の元に女将の紅子が現れるのであった。

▶クッキングツリー

 母が帰ってこなくてひもじい思いをしていた兄弟の元に現れる女将の紅子。近所のお姉さんが買ったという「クッキングツリー」の使用方法を解説してくれます。クッキングツリーになった実は空腹の兄弟の空腹をっ満たしてくれました。しかしクッキングツリーには食べる時のルールがあります。そのルールを守らずに実を食べてしまった兄弟の母の運命やいかに。

▶閉店

 不思議なお菓子の代金でいただいた小銭のその後について。

感想

 悩める大人・子供の夢を叶えてくれる不思議な駄菓子屋さん、銭天堂。
 この本から学ぶことは「説明書はちゃんと読もう!」でしょうか。

 紅子さんはちゃんと「説明書を読むように」と忠告しますが、夢のようなお菓子を手に入れた人々に、その声は届きません。忠告を聞かなかった人々には、それなりのペナルティを受けていきます。

 一方、お菓子の効果を楽しむエンジョイ勢も。「ホーンテッドアイス」を食べた女性はもともとホラー好きだったことも相まって、次々現れる幽霊たちの存在を半ば楽しんでいます。アイスの効果もちゃんと把握していて正しく利用していただけに、幽霊たちとの急な別れは少し寂しいものがありました。

 各話各所で怪しいムーブをする紅子さんですが、その実、このお店に訪れることの出来たお客さんに幸運を掴んでもらいたいと思ってくれている方ではあります。痛い目に遭った人々も、道具(ここでは駄菓子)自体に罪はなく、道具の使い方を間違えただけなのです。

 薬でも道具でも何でもですが、説明書に書いてある使用上の注意をよく読み、用法用量を守って正しくお使いいただくことが、安全に製品を利用していただくためにも必要なことだと思います。注意しましょう。

本作、個人的に紅子さんの一人称が「紅子さん」なのが大変推せるポイントです。

 不思議な駄菓子屋さんに行けるのは、呼ばれたその時一度きり。幸運を掴むチャンスも、きっとそんなに多くないのでしょう。与えられたチャンスは有効活用していきたいですね。

 今回はここまで。

 では、また次の本で。

 

 

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