久蔵、がんばる!
(読んだ本)妖怪の子預かります⑤(作:廣嶋玲子/絵:Minoru/東京創元社)
ホイットニー・ヒューストンさんの「I Will Always Love You」を添えて。
5巻での出来事
▶初音、実家に連れ戻される
順調なお付き合いを続けていた人間の久蔵と華蛇族のお姫様の初音。しかしある日初音は実家から乳母がお迎えが来て、連れ戻されてしまう。初音を取り戻すために、妖怪ごとに詳しそうな弥助と千弥のところにやってきて「助けてくれ」と頼み込むのでした。
▶久蔵、初音の実家に乗り込む
久蔵の事情に同情するところのあった千弥は、妖猫族の王蜜の君に助力を請います。王蜜の君の協力で初音の実家の屋敷に乗り込みます。そこで初音の乳母と対峙し、久蔵は初音に会う事を願うのですが、乳母の萩乃は許しませんでした、、、
▶久蔵、妖怪の子どもを預かる
久蔵は萩乃から初音に会うための条件として三つの試練を受けることに。それは「妖怪の子どもを預かること」。経験者の弥助に泣きつき、助言をしてもらえることにはなったけど、果たして試練の結果やいかに!
▶従者たちの宴
王蜜の君のところの寝言猫と、月夜公のところの烏天狗と、初音に仕える蛙がお疲れ様会とお互いを労い合う話。
感想
▶千弥、久蔵に妖怪だとバレてた
久蔵さんは一見ちゃらんぽらんに見えて根は物事をちゃんと見ているしっかりした男でした!
▶弥助のネガキャン
久蔵さんを嫌う人間代表として華蛇族の屋敷に召喚される弥助君。色々と久蔵さんのネガキャンをするけど、人間として腐った人間ではないと乳母の萩乃に説明します。お陰で聞く耳持たぬ状態から条件を達成できたら会わせてあげましょうまで条件が緩和されたので、弥助君はナイスアシストをしたのではないでしょうか。
そしてこの時始めて、久蔵さんと初音ちゃんが良い仲であることを知る弥助君なのでした。
▶災い転じて
貧乏神の子どもを預かり、さすが貧乏神といった感じで大変てんやわんやしますが、一大ピンチを迎えて久蔵さんが腹をくくったところ、なんと貧乏神の子どもが福の神に!?災い転じてって言うけど!貧乏神さんの名前「災造さん」だけど!!貧乏神さんも福の神さんになりました。
この1件で久蔵さん、ご飯を炊くところからおにぎりを作る所までできるようになります。久蔵、やればできる男!!
▶蜘蛛の姫との約束
約束を違えないために蜘蛛の姫と「死後、自分の骸をあげること」を約束します。それ初音さんに怒られませんかね!?今の初音さんなら大丈夫かもしれません。
▶一晩の夢
一晩で『愛する人を喪い、子どもを育てる覚悟をし、育て上げ、大切に愛し育てた子どもを喪う体験』をさせられる久蔵さんでした。これは久蔵さん怒っていい!それでもなお初音さんといたいと願った久蔵さんの願いは本物でしょう。これには萩乃さんも認めないわけにはいきません。
久蔵さんと初音ちゃんは無事再会し、この後も2人で生きることを誓うのでした。
この辺のBGMは間違いなく「I Will Always Love You」
この後無事祝言まで終えて夫婦となりました。
(ところで、曲名が分からなくて「エンダーーーイヤーーー 曲名」で検索したらヒットしてくれるGoogleさんって優秀ですね。大変助かりました。)
▶中間管理職の宴
子供たちを弥助君に預け、寝言猫と烏天狗と蛙の3妖怪は宴を開きます。寝言猫と蛙は初音ちゃんの1件で、烏天狗は上司とのことで色々思う所もある様子。同じような立場の者同士、積もる話もたくさんありそうです。
それからここで明かされる烏天狗の奥方の正体。改めてキャラクターを見ていくとお子さんと奥方様似ていらっしゃいますね、ってなる。このことで作中で語られる「ベタ惚れして押しかけ女房する話」が味わい深くなるわけで。夫婦仲良くてなによりです。
▶最初から最後まで歪みない千弥
登場シーンの後ろでずっと「弥助命」の文字が見えてました、ハイ。
今巻の好きなとこ
元貧乏神さんの台詞で、
「我ら貧乏神は怠け者に取り憑きます。ですが、その怠け者が改心し、貧しい日々から抜け出そうと努力すれば、徐々に取り憑いている我らの神格が上がっていく。そしてやがては福の神に転生し、それまでやっかいになっていた人間に福をもたらすというわけでして」
という台詞があります。続けて、
つまり貧乏神による災いをはねのける努力と根性があれば、いずれは福の神がやってくるというわけか。なるほど、と久蔵はうなずいた。
と続きます(P82-83)
貧乏神でも憑いてるんじゃないかって思うほど「ツイてない」「うまく行かない」ってことってあると思います。でもツイてないこと・うまく行かないことにに腐らず、負けず、それこそ『災いをはねのける努力と根性』があれば、そんなツイてない・うまく行かないことを乗り越えて、その先に行けるのではないかと思います。
これからは貧乏神を福の神にするくらいの気概を持って生きていこうと思いました。負けないぞ!
今回はここまで。
では、また次の本で。
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