【読書感想】妖怪の子預かります①

読書の時間

弥助、お前「うぶめ石」壊したんか!?

(読んだ本)妖怪の子預かります①(作:廣嶋玲子/絵:Minoru/東京創元社)

悪気なくやったこでも、結果悪いことはある。

こんな話

 長屋で按摩師の青年と暮らす弥助少年。夢見が悪くモヤモヤとした気持ちを抱えたまま森を歩いていると石を発見。気持ちがモヤモヤしていたので石を地面に叩きつけて割ってしまいます。

 その夜「奉行所」を名乗る烏天狗に捕らえられ、お白州のような場所で裁きにかけられる。罪状は「うぶめの住まいのうぶめ石が傷つけられ、心痛めたうぶめがいなくなってしまった。」うぶめは愛情深い妖怪で、親に代わって子妖怪を預かる姥を引き受けてくれていたようで「石を子供を預けられなくなった妖怪達が困っている」と。割ってしまった石は妖怪の住まいで大切なものだったらしいのです。

 妖怪奉行所の主である「月夜公」より「うぶめに代わって妖怪の子供を預かるように」と沙汰が下ります。妖怪たちへの目印と、役を逃げたら命を取るぞという「妖怪印」を付けられ、家に帰されます。

 家に戻ると兄と慕う「千弥」に事情を話すと「その命には従ったほうがいい」と言います。千弥になだめられ、なんとかなるのではないか、と思い直すのでした。

 それから夜が来て、最初の妖怪がやってきます。妖怪は梅干しのおばあさんと孫の青梅のような妖怪。最初はとまどいながらもなんとか一晩預かることができました。

 また夜が来て、戸を叩く音がします。今晩も誰か子供を預けに来たようで、、、

 

感想

・弥助君、頑張る。とても頑張る。時にたまごを抱え、時に子供妖怪の要望を聞き、願いを叶えながら、妖怪の子供を預かるという役目を全うしていきます。

・弥助君の生活力高くて安心感あります。作るご飯がとても美味しそうです。

・弥助君は千弥さんと出会う前の事を忘れていますが、後半強制的に思い出します。辛かった、、、

・弥助君と千弥さんがお互いがお互いに強火過ぎて共依存を疑いましたが、ただお互いがお互いのことがとてもとても大事大事なだけでした。

・千弥さんが作中で終始謎の人物として書かれますが、今作中で正体まで分かります。

・長屋の大家のドラ息子「久蔵」さんは、飲む・買う・打つの三拍子そろった立派なドラ息子でしたが、案外面倒見のいい男で見直しました。不憫さ◎

・玉雪ちゃんをモフりたい人生だった。

・月夜公、最初は「吾が法」というかなり尊大な態度を取っていますが、後々登場する甥っ子君とのエピソードでちょっといいなってなります。甥っ子にやさしい叔父さん、いいね。

・月夜公、最終的に弥助君のこと認めてくれるけどラストでとんでもないことやってくるから、やっぱり妖怪って分かんないなぁと思いました。

・個性的な妖怪たちがたくさん登場するぞ!私は烏天狗が好きです(好きな妖怪発表ドラゴン)

  作中で、付喪神を売る商いをする「仲人屋」の十郎と名乗る妖怪が登場します。この十郎さん、実は元人間。人間の世界が嫌になって、逃げて、妖怪として生き直している、とのこと。

 そんな十郎さんは弥助に「逃げたっていいんだよ」と言います。「同じ出来事でも、受け止められる人・受け止められず壊れてしまう人がいる。壊れるくらいなら逃げて、逃げて逃げた先でまた立て直せばいい」のだと。「逃げ道があることを心のすみに置いておけば、辛くなった時に心が壊れる前に自分自身を助けられるかもしれないよ」と言って去って行きます。

 私は考えてしまいました。耐えることが本当に良いことなのかと。逃げてばかりも良くないのですが、耐えてばかりではいいつか耐えられなくなる時が来るのではないかと。もし耐えられなくなったら?その時はやっぱり心が壊れてしまうのではないかと思います。壊れた心は治すのにとても時間がかかります。自分が壊れる前に、どうしようもなくなる前に、その耐えなければならない場から逃げてもいいのではないかと思います。逃げてみて少しずつ気持ちが落ち着いてきたら、それからまた頑張れば良いのです。自分自身を大切にしてあげてほしいと思います。

 終盤、妖怪を食べる妖怪と対峙することになりますが、最終的にはうぶめに助けられ事なきをえます。頑張っている姿は見ていてくれる人(今回は妖怪ですが…)がいるものですね。新しいうぶめの住処が決まり妖怪の子を預かるお役目から開放されるかと思いきや、うぶめさん、たいそう弥助君が気に入ったようで、自分の補佐役にと言っているようです。妖怪の子供たちとも仲良くなっていたので、月夜公より新たなお役目「子預かりや代理」が申し付けられます。弥助君は今後もたくさんの、色んな妖怪の子供たちと出会っていくのでしょう。

 最後に大変個人的な感想になるのですが、「千弥」というキャラクターが刺さりすぎて辛かったです。推せる!!大変推せる!!!月夜公との因縁詳しく!!!

千弥さんに沼りそうなので、今回はここまで。

では、また次の本で。

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