【読書感想】福猫屋~お佐和のねこわずらい~

読書の時間

福猫屋の日々と、2つの恋の顛末

(読んだ本)福猫屋~お佐和のねこわずらい~(作:三國青葉/講談社)

 猫好きたちの愉快な日常、今巻も福猫屋の面々の会話のテンポが心地よい!

[登場人物]

・お佐和…猫茶家「福猫屋」のおかみさん

・繁蔵…簪職人、猫が苦手

・亮太…お佐和さんの甥っ子、繁蔵の弟子

・お縫…福猫屋の奉公人

・お駒、お滝、徳右衛門、忠兵衛…福猫屋の常連

・権兵衛…福猫屋の常連

・八十様…福猫屋の常連、旗本の大殿

こんな話

第1話 ねこちがい

 ▶この時代の長毛種の猫ちゃんって、大変だよね

 福猫屋の主人、お佐和さんがある日拾ったのは毛玉の絡まった長毛種の白猫!猫を助けるために毛玉を取ることに成功するも、飼い主が分かりません。きっとさる名家のお猫様なのだろうけど、もとの家は分かりません。福猫屋のお客様ネットワークを通じて飼い主を見つけるも、飼い主様は大変お怒りです。

第2話 ねこわずらい

 ▶権兵衛の恋煩い、あなたの恋はどこから?

 福猫屋常連の権兵衛さん。前巻で「結婚しない」と宣言したものの、福猫屋で運命の出会いを果たす。本人は一向にそれを「恋」と認めないが、彼から語られるエピソードは恋煩いのそれ。しかもお相手の”花津さん”とはそれ以降会えずじまい。しかし縁あって再会を果たし熱烈な告白をするも「結婚する気はない」と一蹴されていまいます。納得がいかないお佐和さんは再度権兵衛と花津さんとのお見合いの席を設けます。花津さんから語られる発言の真意とは?

第3話 ねこしまつ

 ▶大人猫のセカンドライフの模索、全ては猫の幸せのために

 ある日老人が飼い猫を引き取ってほしいと福猫屋を訪れます。老人には家族がおらず、健康不安のある老人は猫のその後が心配でした。猫を引き受けたお佐和さん、福猫屋で預かっていると、その猫を飼いたいという方が現れ、預けることにしました。数日後、猫を預けた方が「猫がいなくなった」と福猫屋を訪れます。猫は元の飼い主の老人の所にいました。連れ戻しては元の家に戻るを繰り返すうち、これではいけないとお佐和さんは元飼い主と現飼い主の話し合いの場を設けることにしました。猫のためによい結論を出すことができるのでしょうか?

感想

・第1話、猫のお手入れの動画をよく見ていたので、長毛種猫ちゃんのお手入れの大変さはなんとなく分かります。ブラッシングが出来ず毛玉がフェルト状になって動けなくなった状態の猫は本当に痛そうだったので、この話に出てくる猫ちゃんも最初触られることすら嫌がります。毛玉を取ったことでザンバラになってしまった猫の毛並みに、猫を引き取りに来た飼い主様は大変怒ります。しかし、猫の命のためには仕方のない事ですから、飼い主さんも納得していただけました。最後にちゃっかり子孫を残していく長毛種猫ちゃん。福猫屋にニューフェイス誕生です。

・第2話、人が恋に落ちるさまを見た気がします。お断りの件で花津さんの物言いが気になって、お佐和さんについてったお家で運命論を語る亮太少年。権兵衛さんがそのくらい花津さんにゾッコンだったのですが、実は花津さんも同じ気持ちで…って感じで、福猫屋の常連になった気持ちでこの恋路の行く末を見守った1話でした。蓋を開けてみれば花津さんも権兵衛さんも「同じくらいの熱量で語れる猫好き(猫マニア)」だったので、気が合わないわけは無かった!しかも結婚をお断りした原因もやっぱり猫なわけで。あれよあれよと言う間に話はまとまり、2人は夫婦になるのでした!!いやはや、めでたい!!

 その後結託した嫁姑の尻に敷かれる権兵衛さんの姿があったとかなかったとか、、、

・第3話、元の飼い主と現飼い主の荒めの話し合いの末、元の飼い主の隣の家に現飼い主が引っ越すことで話がまとまりました。結果、人間も猫も幸せな結末を迎えることができました。

 ここで今作もう1つの恋のお話、簪職人の弟子、亮太少年のお話。亮太少年は常連のお民ちゃんと、いずれは所帯を持ちたいと考えていました。しかしお民ちゃんはまだ子供で、亮太少年もまだまだ半人前。そんなお民ちゃんが他所に奉公に上がるという話が持ち上がります。思いを伝えられないまま宴席で権兵衛さんによる「俺、何かやっちゃいました」案件の末に、2人は将来所帯を持つ約束をし、お民ちゃんは他所へ奉公に上がるのではなく福猫屋で働くことになるのでした。めでたしめでたし!

 今巻3話で、猫の飼い主は猫に返事の帰ってこない一方的な恋文を毎日書いているようなものだ、という話がお佐和さんから語られます。『猫を大事にしていても、猫は何も返してくれない』とお佐和さんはいいますが、そんなところも猫の可愛いところですからね、困ったものです。

 因みに前の巻で進めていた巾着と縮緬細工の品々は無事福猫屋の店頭に並び、好評を博しているようです。

 今巻でも福猫屋から人から人へとまたいくつも縁が出来ました。今後も色んなところに縁が伸びて行くんでしょうね!まだまだ広がる福猫屋ネットワーク!!

 作中でも春の香り、現実世界もそろそろ春の気配です。福猫屋シリーズでたくさんの子猫の描写に触れてきましたが、今後はリアル子猫ちゃんを見かける季節が来ます。全ての猫ちゃんたちが幸せに暮らせますように、と願うばかりです。

今回はここまで。

では、また次の本で。

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