人と猫との人情噺
(読んだ本)猫町ふしぎ事件簿-猫神さまは月夜におどります-(作:廣嶋玲子/絵:森のきりこ/童心社)
猫助け、人助け、それから新しい仲間。
こんな話
ここは猫神さまのおわす、大根古(おおねこ)町。猫と猫を愛する人々が暮らす町。
猫神の「おまざりさま」の力により猫と会話ができ、猫になることが出来る遠矢少年は猫の相談役として活動していました。
ある夜猫神さまに呼び出された遠矢君、猫神さまに濁った珠を渡されて「次の満月までにこの珠を磨きなさい」と言われます。ただしこの珠、磨くといってもゴシゴシこすればいいわけじゃない。人や猫の悩みを解決すると、どうやら輝きを増すらしい。猫の願いで少女に届け物をしたり、猫のお産に立ち会ったり、なんとかもう一息まで輝かせることができました。
猫神さまと約束した次の満月を迎え、珠を猫神さまに献上したところ、今日は「お祭り」を行うとのこと。猫神さまに付いていくと、知らない場所に来てしまいますが、そこには引っ越してこの町を出たおばあちゃんが。猫神さまはおばあちゃんを祭りに迎え会場へ向かいます。
そしていよいよ祭りが始まります。
感想
人情噺大好き!人と猫の話に目がウルウルしてしまいました。
入院している少女に届けた届け物も可愛らしかったです。何を持っていけばいいか猫と相談するシーンがあるのですが、とても微笑ましいです。もらって嬉しいものの基準は人間と猫とではちょっと違いますね。
お礼を言われて心が温かくなった遠矢君は「この幸せを誰かにおすそわけしたい!」と思います。幸せの連鎖が続きそうで、こちらも心温かくなりました。
お腹に子供を抱えた母猫を気にしている少年と遠矢君はせっせと母猫にご飯を運ぶのですが、出産を前に天気は雨予報。思いを巡らすとこの人なら助けてくれるかも!という強面のおじさんの家へ向かいます。おじさん、強面でしたがとても猫に愛情があるかたで、無事母猫は出産することが出来ました。いやぁ、人は認めじゃないですね!おじさんが丁寧に子猫にミルクをあげるシーンが温かいです。
この母猫との話の中で、母猫を助けるために遠矢君は猫神さまに相談するのですが「私がその猫に助けを求められたわけじゃないから私から助けることは出来ない、助けたいなら自分で助けなさい」と言われてしまいます。なんて冷たい神様なんだ!と思いますが、その言葉から遠矢君は「自分で頑張る!」と決めるわけですから、猫神さまもなかなか、この遠矢君を信頼しているとみえます。
この本の冒頭から登場し、記憶の中で遠矢君に数々の助言をしてくれる「菊子おばあちゃん」が後々作中にも出てきます。おばあちゃんは遠くの街へ引っ越してしまっていたのですが、本編後、再びこの町に戻って来ることになりました。名コンビ誕生の予感がします。
今作で「猫と人の両方を幸せにする」という任務を与えられ、色々考え、相手の話を聞き、行動に移します。なにごともやり遂げることは大変なことですから、任務をやり遂げた遠矢君は、すごく頑張ったなと思いました。読んでて応援したくなる頑張りやさんです。
この作品を読んでいて、なんだかとっても猫になってこの町に住みたくなりました。ウチの近所にいませんかねぇ、猫神さまみたいな神様が。猫と話が出来たなら楽しそうだな~なんてことを考えて、楽しい気持ちになる本でした。
ただ、1つ誤算があったとすれば、この本がシリーズの2作目だったということでしょうか。
この本もとても面白かったので、1作品目も今後読みたいと思います。
今回はここまで。
では、また次の本で。
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