【読書感想】後宮小説

読書の時間

 年末年始でYouTubeでアニメの「雲のように風のように」を見たのですが、面白かったので原作の方も読んでいこうと思います。

読んだ本:後宮小説(著:酒見賢一/新潮文庫)

こんな話

 展開がちょくちょく違いますが、概ね「雲のように風のように」と同じように話が進みます(原作なのでそれはそう)

 ストーリーの合間合間で小ネタが挟まっていくので、作中時代の理解が深まりました。

 アニメではだいぶ表現がマイルドにされたり省かれたりしていますが、物語の半分くらいを「銀河たちが後宮でなにを学んでいたか」についての話が続き、哲学的な話から直接的な行為の話まで色々と語られています。房事術を学問で学ぶとこうなるんだな、という感じです。けっこうがっつり書いてある!

 イリューダの反乱の一連の話も、実際のところの話、結構運だけで都まで行ったみたいなところがあると分かります。途中でちょくちょく寄り道して遊んでましたし、最初から真面目な反乱でもなかった様子です。首謀者の混沌が首謀者の自覚がないのが怖いような、面白いような感じがしました。

 反乱が起こる前からほとんど政治が機能していなかったこともあり、けっこうあっさり国が滅びてしまうので、国って脆い存在なのかもしれない、と思いました。

 読んだ後、馬小屋で銀河の言った「銀河もう子供じゃないもん」の意味が自分の中で変わってしましましたけども。

感想

 各々のキャラクターたちが、ちょっとずつアニメと違ってて面白かったです。真野が昇進を目論む俗っぽい男ですし、セシャーミンがより高飛車貴婦人ムーブしてくるし、江葉は銀河が距離感をはかりかねる不思議ちゃんで、アニメで武人ムーブしてくるタミューンが終始銀河達に塩対応だったりします。コリューンの初登場時はなんか可愛かったです。

 中でも一番アニメと違うなと感じたのはタミューンで、自身が戦う描写はなく、弟同担拒否強火担キャラでした。そんな彼女、最期がちょっと悲しかったです。

 一方アニメでも小説でも好きだなと感じたのは江葉と混沌。江葉と銀河はどんどん仲良くなっていきます。後宮が攻められた時に江葉に将軍をやってと言ったのは銀河でした。後宮を離れた後もどうやら2人は行動をともにした時間も長かった様子です。アニメで江葉推しになった私は大変江葉充させてもらいました。

 混沌の方は、最初から最後まで自由でした。羨ましいほど、作中で自由に自分の心のままに行動していました。乱を起こしたのも思いつきですし、見どころあると思ってた敵将が暗殺されて激昂して残虐自作小説を各所に送りつける行動が面白かったです。その怒りのまま都まで攻め上がるし、敵将を暗殺した派閥を切って捨てたあとは「ここまで」と冷めて反乱から手を引いてしまうのが、なんとも自由な人だったなと。ちゃっかり銀河たち後宮の皆さんと脱出してしまうのは見事だったと思います。

 菊凶がアニメ以上に野心家で、裏でなかなかやることやっていましたが、裏事情をバラした相手が悪くその場でバラされてしまいました。アニメの最期で皇后と赤ちゃんが映ってましたが、その父親がどうやらこの菊凶らしいと判明します。後宮内、ドロドロですね!

 後宮を去ったその後の話も少しだけあります。銀河は奔放にあちこち旅をしていたようです。銀河は最後まで銀河だったんでしょうね。

 私は歴史の記録が追えなくなった人物が、別の国で別の名前で別の人生送っていたかもしれない的な話がだいぶ好きなので、そういった需要もこの小説で満たされました。

 アニメを見て、もっと深くこの世界観に沈みたい!という方にはオススメです。

今回はここまで。

では、また次の本で。

 

 

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