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【読書感想】梅安蟻地獄-必殺仕掛人-

時代小説

[読んだ本]梅安蟻地獄-必殺仕掛人-(作:池波正太郎/講談社/本表示価格:750円)

▲▽▲感想▲▽▲

❖春雪仕掛針

 嫁の敵を打ち損なった姑さんの恨みを梅安先生が晴らす話。

 梅安先生も1つの仕掛けに細心の注意を払って行うので、続けてはやりたくないのだそうです。仕事は一瞬で終わってしまうので、見事です。

 

❖梅安蟻地獄

 仕掛人、新たなる出会い

 梅安、同業者と出会い友情を育みます。協力関係って良いね!

 出会いは人違いだったけど、この先も続く友情だと思うと感慨深いです。

❖梅安初時雨

 梅安、幼少の頃の思い出話

 あと少しだけ間に合わなった話

 前回の一件で友情が芽生えた「小杉十五郎」が江戸にいられなくなり、一緒に京都を目指します。途中立ち寄った「藤枝」の地で、幼い頃の話を梅安は聞かせてくれます。その土地で自分と境遇の似た子どもを見かけ手を差し伸べようとするのですが、時すでに、といったお話。

 梅安・小杉一行と、それを追う追手一行(先行組と後追い組)と、それらを追う「彦次郎」が、お互い先に行ったり、行き過ぎたり、戻ったり、追いかけたり、先回りしたりするのが面白い一遍です。仕掛人のプロの業が光ります。

❖闇の大川橋

 梅安、事件に巻き込まれる

 人斬りにあった御用聞きの親分さんを町医者に運んだ梅安、親分さんは亡くなってしまいますが、その今際の国にある人の名を恨めしげに口にします。その後、梅安も命を狙われることに。合わせて依頼された仕掛けの仕事の内情を探りながら、とある旗本へとたどり着くのでした。

 深入りするとまずそうな言葉を「聞かなかったことにする」ということはよくあることなのでしょうね。

 

 針医者である光の部分と仕掛人である闇の部分を両方抱えながら、時に人を救い時に人を殺める自分の矛盾に思うところはある様子の藤枝梅安。仕掛けの対象は「生かしてはおけない極悪人」とはいえ、正義でやっているといった感情は彼にはありません。本人(梅安)は「人助け」と呼んでいます。仕事は一瞬ですし、そこにためらいはないのです。人の生き死にに手を加える自分というものと折り合っているのが、この主人公のすごいところです。

 それから、作品に登場する料理が美味しそうで、読みながらお腹が空いてきます。文字だけなのに臭いや味がしてくるのです。あと、作中彼らはよく酒を飲むので、なんだかお酒が飲みたくなります。(私は飲めないんですけどね。)

 「人助け」である梅安の仕掛け仕事ですが、自分の得意なことを自分の欲のためにつかうのではなく他者のために使う姿は、やっていることは犯罪なのでしょうが、どこか温かいものを感じてしまう、そんな藤枝梅安のお話でした。

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