【読書感想】妖怪の子預かります⑨

読書の時間

登場人物各々のこれまでとこれからを知る短編集

(読んだ本)妖怪の子預かります⑨(作:廣嶋玲子/絵:Minoru/東京創元社)

少しずつ繋がる物語

9巻のお話

▶宗鉄のあだ名

 半妖のみおのお仕事実践編。それからお父さんの話。

▶玉雪の子守唄

 暑さでへばっている弥助のために、玉雪は雪を求めて鈴白山へ向かう。でもキレイな雪なんてもうなくて。そんな中どこからか歌が聞こえてきた。

▶鈴白山の冬の客

 鈴白山の妖怪「細雪丸」の冬の過ごし方と、1人の妖怪との出会いの話。

 

▶うぶめの夜

 うぶめの仕事と雪山の姉妹のその後の話。

▶へちま、ひどいめにあう

 貸道具屋の宗太郎、父親から曰く付きの櫛を渡される。櫛の元持ち主について調べて見ると「これはダメだ、人の手に負えるものではない」ということになり、お寺に処分してもらおうとしたところ櫛の起こす災難に巻き込まれるのであった。

▶祝の品

 久蔵と初音夫婦のところに双子の女の子が生まれました。そこで各々、思い思いのお祝いの品を準備するのです。

感想

▶宗鉄のあだ名

 娘を持つ父親の複雑な心境。それからみおちゃんの決意。

 玉雪が紅珠に受けた傷が思った以上に深く、悪質でした。継続ダメージとか聞いてないよ~

▶玉雪の子守唄

 治療の甲斐あって回復した玉雪ちゃん。今度は弥助君のために雪のもうほとんどない山へ向かいます。そこでは冬の妖怪が洞窟の奥で過ごしていました。玉雪ちゃんは子守唄と引き換えに雪を譲ってもらい、それとはまた別の子守唄を教えてもらいます。それを弥助君に歌ってあげる玉雪ちゃん、健気かわいい。

▶鈴白山の冬の客

 まだ人間の生き方を知らない千弥さんが雪山に幼い弥助君と訪れ、細雪丸君にまぁまぁ怒られる。過酷な雪山では人間の子供は冬を越せないので、細雪丸君なりの処置を行い春を待ちます。春を待つ間、人間の世界を知らない千弥さんに按摩の道を示したのはこの細雪丸君のようでした。力余ってモブのおじさんの足を折るの、笑えたけど笑えませんでした!人間の町に行く前に、細雪丸君に出会えて本当に良かったと思うエピソードでした。

▶うぶめの夜

 うぶめが面倒を見ていた幽霊の姉妹が大切に幸せになることが確約される話。姉妹よ、幸せにおなりや、、、

▶へちま、ひどいめにあう

 久蔵さんの愛情深さに泣きました。初音さんとの仲を認めてもらうために、娘を育てて喪うまでを一晩の夢で見た久蔵さんでしたが、その子の事を弔ってあげてるという話に胸がキュッとなりました。宗太郎さんがお葬式等の弔いごとを「弔う側が気持ちを整理するためにやること」的な事を言っていて、私もそう思うな~と思いました。

▶祝の品

 祝、双子の姫の誕生!!キャラクター達が各々お祝いの品を準備していきます。相手の事を思いながらお祝いの品を選んでいく面々に、温かい気持ちになりました。王蜜の君が猫妖怪の面々の様子を見に行くので、これまでに登場した猫妖怪達が元気に暮らしている事が分かって良かったです。

 久蔵さんの親バカが早速発動していますが、(少々強火ですが)微笑ましいですね~

誰かのために行動できること

 この作品に出てくる登場人物は、皆誰かのために行動できる人達であり、妖怪達です。困っている人(妖怪)がいれば助けますし、そのために自分から行動できるキャラクター達です。そのせいか、キャラクター1人1人がとても魅力的で、大切な友達のように思います。

 時々意見や考えがすれ違う時もあるけれど、お互いを大切に思い、尊重し、相手のためにと行動し、人や妖怪の隔てなく大きな温かい輪を作っていきます。

 あと縁がすごい。少しずつ大きくなる縁の和。その中心に主人公の弥助少年はいるのです。これはひとえに、弥助君と妖怪たちが紡いできた縁ですから、これからもこの縁を大切にしていくんだろうなと思いました。

 次回10巻、いよいよ最終巻です。弥助君の未来が明るく、幸多からんことを祈ります。

 今回はここまで。

 では、また次の本で。

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